旅館業の許可申請で今、何が変わっているのか。
旅館業(ホテル・旅館・簡易宿所)の許可申請では、申請先の保健所が「建物が建築基準法に適合しているか」を確認します。
この確認が近年厳格化されており、特に注目したいのが【建築士による書類(建築基準法適合証明書)】の扱いです。
同じ長野県内でも、自治体によって必要書類が異なることが分かっています。
これから旅館業での開業を検討されている方に向けて、最新の状況を整理します。
そもそもなぜ建築士の書類が必要になるのか
令和8年5月28日、厚生労働省と国土交通省の連名通知「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」が発出されました。
住宅などを旅館業で申請する際、次の書類を求める内容です。
– 用途変更する床面積の合計が200㎡を超える場合 → 用途変更に係る確認済証
– 200㎡以下の場合(建築確認申請が不要なケース) → 建築基準関係規定に適合している旨の、建築士による証明書
これまで「200㎡以下なら確認申請が不要=手続きが簡易的」とされていた小規模物件でも、
今後は建築士による適合証明書の提出を求められるケースが増えています。
☆長野県の実情:審査の仕組みは2つに分かれる。
ここからが本題です。長野県内の旅館業許可審査は、大きく2パターンに分かれています。
●長野市・松本市(市の保健所が独自審査)
長野市・松本市では、市の保健所が独自に旅館業許可の審査を行っており、現時点では県が求める建築士の書類(適合証明書)の提出までは求められていません。
ただし、これまで通り「建築基準法に合致した建物であること」の確認は行われます。例えば長野市では申請書類として「建築基準法の建築または用途変更の検査済証の写し」の提出が必要です。
●長野市・松本市以外の市町村(長野県が審査)
一方、上記2市以外の市町村では、各市町村の保健所を経由して長野県が審査を行います。そのため、建築士の書類の提出が必要です。
例えば大町保健所管轄エリア(白馬村など)では、申請書類として「建築・用途変更の検査済証の写し、または建築士による建築基準関係規定の適合証明書」が求められています。
注意したいポイント:制度は「変わる」前提で考える
今後、長野市・松本市でも、今後求められる可能性は十分ある!
長野県が提出書類に建築士の書類を加えたことで、長野市・松本市でも同様の書類が求められる可能性はあります。
旅館業での開業を検討しているなら、要件が変わらないうちに早めに申請を進めるのがおすすめです。
もし求められることになったら・・・
建築士による適合証明書の取得には費用と時間がかかるため、スケジュールやコストへの影響を考慮する必要があります。
物件や計画によっては、旅館業(簡易宿所)ではなく民泊(住宅宿泊事業法)としての運営に切り替えるという選択肢もあります。
どちらのスキームが自社の物件に合うかは、専門家への相談が安心です。
旅館業許可申請の一般的な流れ
1. 管轄の保健所へ事前相談(必要書類・建築士書類の要否を確認)
2. 書類準備(申請書、各階平面図、付近見取図、検査済証の写し、消防法令適合通知など)
3. 申請書の提出・手数料の納付
4. 書類審査・現地検査
5. 許可
建築士の書類の要否は物件選定の段階で大きく影響するため、計画初期に保健所へ相談することが非常に重要です。
まとめ
– 長野市・松本市は現時点で建築士の書類の提出は不要(ただし検査済証の写し等での建築適合確認あり)
– それ以外の市町村は長野県の審査があり、建築士の書類が必要
– 制度は変わり得るため、旅館業で進めるなら早めの申請が得策
– 将来求められることになった場合に備え、民泊への切り替えも選択肢
※本コラムは2026年8月の公表情報及び弊社の調査に基づくものです。実際の必要書類や運用は自治体・時期により変更される場合がありますので、必ず管轄の保健所または専門家にご確認ください。